マレーシアで実施した施工・計測
対象はマレーシア・シャーアラムの空調付き事務所です。2026年2月に屋根、5月に壁・窓を施工しました。空調付き事務所1施設での実証です。
2026年1〜7月に電力・温湿度を5分間隔で記録。電力データは約110日分、約31,300サンプルです。温湿度には2月26日〜5月下旬の欠測があり、半年間連続して全項目を計測したわけではありません。
分析で確認された変化
設定温度26℃で比較できる期間について、常時負荷を差し引いてAC消費電力を推定し、外気温を補正しました。屋根・壁の施工後は推定AC電力が約35%低く、日単位ブートストラップによる95%信頼区間は約24〜50%減でした。
AC稼働時の室温は施工前24.9℃、施工後24.6℃で同程度でした。ただし、施工前後の観測結果であり、差のすべてが遮熱施工によるものと確定した結果ではありません。
電気代35%削減を意味しない理由
ACの稼働時間は1日約4.65時間から12.42時間に増加。そのため推定AC電力量は1日9.1kWhから13.8kWhへ増えています。条件を揃えた電力が低くなっても、使用時間が増えれば総電力量は増えます。
別の施設の削減余地を考えるには、屋根・壁の構成、空調範囲、稼働時間、施工前データが必要です。
まだ切り分けられていない要因
- 屋根単独の期間は温湿度が欠測しており、屋根だけの効果は判定できません。
- 屋根と壁の効果は分離できません。
- 未施工の対照棟はなく、日射・季節の違いを完全には補正していません。
- AC整備履歴とセンサー位置は未確認で、解釈に影響する可能性があります。
- 信頼区間は分析上の不確実性を示しますが、これらの交絡要因を取り除くものではありません。
次の現場でどう活かすか
着工前に計測計画を決め、温度と電力を施工前後を通して記録します。設定温度、稼働時間、設備整備の履歴も残します。大きさや条件が違う工場は、個別の診断と計測計画から始めます。